「スローループ」2巻の補足・追記・解説。料理、餌釣り、それでもフライフィッシング!
さて1巻の解説記事を書いたそばから2巻を読み始め、あっという間に読み終わりました。通してみて思うのは、ひよりが初めからフライフィッシングができる一方で、こはるの立ち位置として初心者+料理が得意という位置づけになっているということです。料理シーンがとにかく多く、食欲をそそりますね。
キャッチ・アンド・リリース? キャッチ・アンド・イート?
魚釣りの醍醐味とはなんでしょうか。個人的にはその時々で流動的なものだと思っていますが、釣り人によっては長年の経験で最終的に紆余曲折してなにか固定の概念に行き着く場合もあるかと思います。これと簡単に申し上げるのは難しいでしょうね。
なかでも一つ醍醐味を挙げるとすれば、「釣った魚を食べる」ということがあります。特に、海釣りではそれが顕著ですね。フライフィッシングにおいては対象魚がニジマス、イワナ、ヤマメといったマス類なので、どうしても好き嫌いが分かれるところです。川魚は臭いから嫌いなんていう人もいますね。それでも、管理釣り場のニジマスを持って帰って、あるいはその場で焼いて食べるというのは、作中のシーンでもあるように、一つの醍醐味なのは間違いありません。
しかしこれは非常にセンシティブな問題で、管理釣り場ならまだしも、自然渓流においては繁殖生産数の問題などで、持って帰る釣り人を嫌っている釣り人も多いのです。実は、ごみ問題以上に深刻なところで、根こそぎ持っていってしまう釣り人には、それを非難する声が届かないのです。海だってもちろん、根こそぎみんなで持っていくようなことがあればいつかは魚がいなくなってしまうでしょうし、小さいサイズは逃がす(リリース)など節度を守ることが重要ですが、それ以上に、フライフィッシングにおいては持ち帰る(キャッチ・アンド・イート)というのは厄介なことなのです。
したがって、釣り場によってはキャッチ・アンド・リリース(持ち帰り厳禁)のところが多いですし、管理釣り場も持ち帰り数を制限しています。
とはいえ管理釣り場で泳いでいる魚は基本的には養殖場から各釣り場が仕入れたもので、釣られすぎてスレた(疑似餌に慣れて食いつかなくなる)個体が増えるよりは、適切に釣り人が持って帰ってフレッシュな個体が泳いでいる、要するに回転率が良いほうが良いという見方もあります。
いずれにしましても、釣った魚を食べることは釣りの醍醐味の一つなのは間違いありませんが、フライフィッシングにおいては、そういった問題に嫌気が差し、キャッチ・アンド・リリースかつ湖の大型魚狙いというような私みたいな境地に行き着くことも往々にしてあるでしょう。
これから始める方においては、魚を持ち帰って食べる場合は、釣り場の持ち帰りルールは気をつけましょう、という感じです。
ちなみにマスに関しては、大きな個体は刺し身にすればほぼサーモンでおいしいです。というか、トラウトサーモンという言い方もあるように、マスとかシャケの線引きは未だに管理人もよくわかっていません。2〜30cmの個体は普通に焼いて食べたり、ムニエルがおいしいです。作中でも捌き方のシーンがありますが、内臓は取った上で、血合いもしっかり取るなど、下処理は肝心ですよ。下処理さえしっかりすれば、普通に美味しいです。
2巻冒頭のひよりの装備
偏光サングラス、これは本当に必須です。いついかなる釣り場でも、陽が落ちて薄暗く(ローライト)なるまでは、偏光サングラスを装着し続けたほうがいいです。基本的な効果としては水面の乱反射を抑えて見やすくなるというものですが、そもそも針先などの危険から目を守るアイウェアとして必要です。浮かせるドライフライを使っているときは、遠くに投げると反射などで本当に見えにくくなるので、それを多少見えやすくしてくれるため、偏光サングラスは所持しておきたいところです。
度なしか、度ありを作るか、普通のメガネに装着するクリップ式か、眼鏡の上から掛けるオーバービューか、という選択肢があります。視力に自信があれば度なしのものを普通に購入すればいいと思いますが、普段メガネの人は、奮発してどこかメガネ屋さんで作ってもらうのが吉です。クリップ式は予備などとしてぜひ。
ラインバスケット。これは何も海に限らず、普通の足場の悪い管理釣り場なんかでも有効なアイテムです。ひよりが装着しているのは樹脂製のハードタイプ。いろいろなメーカーから出ていますが、結構高いアイテムです。6000円〜すると思います。中古でも安く出てきません。万が一タックルベリーなどで2000円とかで売ってたら、即バイト(即買い)です。ソフトタイプもあり、そちらは結構安く手に入ります。邪魔な感じがないので、ソフトタイプもおすすめですが、どうしてもぐにゃぐにゃで肝心なときに閉じてしまうなどデメリットも多く、水に浮くなどハードタイプのメリットが目立ちます。
冒頭のタックルは結構良いものを使っています。というか、1巻冒頭のロッドとリールは、海用っぽくありません。本来海用というと、2巻冒頭の感じのものを指します。ロッドのコルクグリップの先端が尖っていないタイプです。リールは、おそらくハッチ(HATCH)かなにかの良いやつかなあ、と思います。いかにも海用っぽい、いいタックルセットです。
釣りウェアはもうワークマン一択 装備系除く
釣具屋さんのウェアは、ウェーダー(水に浸かれる防水装備)やウェーディングシューズ(浸水想定靴)、フライフィッシング用ベスト以外、どうしても限られてしまいます。最大釣り具メーカーのダイワやシマノはウェアも展開していますがフライフィッシングは強くないので見た目もフライフィッシングっぽくないですし、そうなると、どうせだったらコスパを考えて2021年の潮流としてワークマンで揃えてしまうのが無難になってきます。
インナーから何からワークマンで揃えたのちに、キャップやアイウェア(偏光サングラス)やベストなどは好みで揃えていく感じ。ちなみに、管理釣り場で釣る程度ですとウェーダーは必要ありませんので、ワークマンの最近のキャンプブーツ類が丁度いいと思います。
糸屋個人的にはコロンビアが大好きなんですが、フライフィッシングですと最大メーカーのティムコが展開するFoxFireブランドもいい感じです。フライフィッシングショップでしたらFoxFireブランドや、SIMMSという海外メーカーのものが置いてあるところも多いでしょう。
ちなみに、SIMMSの良いウェーダーは何万もします。このあたり、本当にピンからキリですが、車で言えばクラウンやレクサスやベンツみたいなもので、見極めが肝心です。フライフィッシングは他の釣法と比較しても案外安く初められる説を推しています。
邪の邪をゆくスローループ!
女の子がゆったりとフライフィッシングライフを送るものだとばかり思っていましたが、ついにマグロとか言い出してびっくり仰天です。
海フライ発進の時点で最初からテトラポットに乗り上げているような状態でしたが、進む方向が斜めどころか虚数のまた虚数の世界みたいな感じで、頭を抱えています(いい意味ですが、沼ですらない境地なんですよ、海ででかい魚を狙うのは、ほんと)。
初心者の方におかれましては、くれぐれもお気をつけを。まずは管理釣り場でニジマス。そして慣れたら渓流や湖。それがフライフィッシングにおいてはベターです。この子たち、本当にどうなっちゃうの。
室内キャスティング練習と角度の問題
適当な棒の先端に毛糸をつけて行ったり来たりさせるのは、作中通り初心者の室内キャスティング練習に非常にもってこいです。ロッドにフライラインが乗っかっている感覚がわかれば、フォルスキャスト(ラインを前後させる動作)に活かせます。コツを掴めば、あとはそこまで難しいものではありません。専用の商品もありますが、4,5千円も出すようなものではありません(笑)。
よく、時計に例えて、前方が2時で後方が10時、あるいは1時11時などと表現しますが、個人的には前方は2時、後方は0時でいいと思います。
初心者の方は大抵、真上でストップしたつもりが、だいぶ後ろに倒れているんです。それを加味して、前方は2時位の角度、後方は0時の真上でストップさせる感じで問題ありません。どうせ、倒れていますから。10時を意識すると、多分90度倒してしまって9時になっている初心者が多いと思います。
ロッドがバックキャスト時に倒れすぎてしまうと、途端にギクシャクしてフォルスキャストがうまく行かなくなります。個人差はあると思いますが、前方は2時位で倒しすぎず、後方は0時くらいで最初は直角くらいを意識するくらいでいいのではと感じます。
フォルスキャストしながら左手でラインを引いたり出したりする、ホールという動作もあります。これも初めから自分なりにやってしまっていいと思います。無理に控えておく必要はありません。
ロッド番手とライン指定 AFTMAという規格
作中の表記で概ね合っています。一つアドバイスがあるとすれば、よく初心者向けと言われる5番は、将来的に使わなくなる可能性が濃厚なので買わないほうがいいです。片手で振るシングルハンドロッドでしたら、3,4,6,8あたりがあればOKです。
数字が小さければ低番手と呼ばれ、小さなターゲットを狙う軽量設定で、大きければ高番手と呼ばれ、大きなターゲットを狙う重めのタックルとなります。
具体的には、渓流の3番、渓流&一般管理釣り場の4番、一般湖や重量フライ用の6番、海や広い湖の遠投用の8番という感じ。
個人的にはLOOP(ループ)というところの4番のロッドで何でもこなす変態と化しています。
それはさておき、ラインは基本的にロッドの番手と同じものを使います。1段階重くすることもあります。
ラインに関しては本当に覚えることが多いです。まずはフローティングという浮くラインを使えば問題ありません。
たとえば、WF4-Fという表記でしたら、ウエイトフォワードの4番ラインのフローティングという感じです。
ウエイトフォワードというのは、前方が重くなっているラインで、初心者は投げやすいと思います。対になるものとしてDT(ダブルテーパー)という規格があります。そちらは渓流などで使います。
重さについて作中で言及がありますが、基本的には初めのうちは気にしなくて問題ありません。
先端部分を組み替えて使うシステムにおいて、AFTMAという規格に準じて重さを考える必要が出てきます。
grain表記についても触れられていましたが、メーカーの国によってはグラム表記もあります。今はGoogleなどで簡単に変換できると思いますし、表などもありますので問題はありません。
ちなみに、グレーンは穀物を指すので、麦ではないのでは・・とかいろいろ思うことがありましたが、あまり自信はないので突っ込まないでおきます。
室内釣堀のススメ
フライフィッシングは事前の準備も大変ですし、ドアツーリバーなど釣り場が近くなければどうしても腰を据えて挑む感じになります。一方で、エサ釣りにはなりますが室内釣堀でしたら、非常に気軽にチャレンジでき、釣りをしてる感も味わえます。
おすすめ:アミパ佐野店
https://www.amipa-sano.com/item/item01.html
ウキ釣りでもあるので、フライのルースニングというウキを使ったシステムの感覚を掴む勉強にもなります。一度行くと結構満足するので、釣りに行きたいけどフライの準備が面倒というときは検討してみては。
いよいよ渓流!?
2巻の最後でいよいよ渓流に行きそうな感じになってよかったです。フライフィッシングといえば、渓流ですからね…。さて、3巻も楽しみです。
スローループ 1巻
まんがタイムきらら勢としてもどうやら久々の期待良作らしいです。可愛く、たのしく、フライフィッシング。
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