管理釣り場におけるフライフィッシングのレギュレーションはなぜユルユルに見えるのか?
フライロッドをスピニングロッドにコンバート改造し、フライルアーの制作に取り掛かると同時に、管理釣り場におけるさまざまなレギュレーションの違いを知ることができました。いずれの管理釣り場もルアーに対しては様々なレギュレーションを敷いている一方で、そもそもフライフィッシングに関しては細かく厳しいレギュレーションを敷いていない管理釣り場が多いことに気づきました。一体それはなぜなのか。ご意見も賜り、いろいろ考えてみます。
ドメジャーな管理釣り場のレギュレーションを見てみる
まず、独断と偏見で選ぶ関東で割とメジャーな管理釣り場のルールを見てみます。
加賀フィッシングエリア
意外にも加賀フィッシングエリアに関してはルアーへの細かなレギュレーションはなく、一般的な以下の2点のみ。
■餌釣り・まき餌・テンカラ・引っ掛け釣り等の、ルアー及びフライフィッシングのモラルに反する釣りも禁止しています。
■ワーム・トレーラー・かえしのある針・集魚剤の使用も禁止です。
川場フィッシングプラザ
ルアーに対しては割と細かく指定していますが、フライに関しては以下の馴染みのない4点を指定。
したがって、エッグを使う場合はおそらくヤーンで作るもっともポピュラーなもののみOKという感じだと思います(念の為、エッグ自体気をつけてください)。
それ以外、フライに関しては特にありません。
朝霞ガーデン
朝霞ガーデンもやはり、とくにペレット系の「対管理釣り場用」のルアーに関しては厳し目で、ほかもポピュラーなレギュレーションを敷いていますが、やはりフライに関してはこれといって無し。「パワーエッグ」のみです。
開成水辺フォレストスプリングス
ルアーに関してはメジャーなレギュレーションとサイズ指定がありますが、フライについてはドロッパー禁止のみ。
http://www.forest-springs.com/kaisei/rule.html
ベリーパーク in フィッシュオン!王禅寺
ルアーはやはりメジャーなレギュレーションおよびサイズ指定があります。フライに関しては、他には珍しく土地の都合からかロッド長制限があり、ダブルハンドおよびスペイキャスト禁止。”・枝針(2本以上の針)・ドロッパーの使用は禁止です”との記載もあり。
http://www.fishon-oz.jp/guide/regulation.html
ルアーは細かく、フライは定番の内容
各管理釣り場のレギュレーションを比較してわかったのは、当然ながらシングル・バーブレス厳守やエサ関連厳禁は釣法かかわらず当たり前として、やはりフライに関してはルアーと比べて定番の内容のみを禁止していることが多いということです。
赤バリなどのハリのみ禁止は釣り場により、エッグ関連もパワーエッグ以外特に細かくないところがほとんどです。
ドロッパーやトレーラー(要するに、ティペットを枝状にしていくつもフライを付けること)禁止はまちまちというところでしょうか。
テンカラを禁止しているエリアは多い
一方で目立ったのは、「テンカラ禁止」のエリアが結構あるということ。王禅寺に関してはOKですが細かくルールがある感じです。
次項で触れますが、やはり手返しの問題もあるでしょうし、管理釣り場でやってしまうと引っ掛け釣りに近いものがあります。また、一部フィールドではテンカラ師の魚に対するマナーの悪さ(ズリ上げ)のため禁止としたところもあるようです。
テンカラは川に行けということでしょうね。
なぜフライフィッシングに関してはユルめのレギュレーションに見えるのか
いよいよ今回の主題です。普通に遊ぶ分には逸脱しないレギュレーションしかなく、一部のエリアでは竿の長さやダブルハンド禁止を気をつければいいだけです。管理釣り場サイドの事情などをふまえ、なぜフライフィッシングに関してはユルめのレギュレーションを敷いているように見えるのか考えてみます。
そもそも規制をするのが難しい
実際にレギュレーションを眺めて思ったのは、そもそもレギュレーションというのはハリスに何を付けるかというところ以外なかなか規制しずらく、フライに関してはそれ以外だと土地の都合でロッド長や釣法を規制する程度のものです。
ハリスに何を付けるかというと、ルアーではあまりに釣れてしまうものを順次指定すればOKですが、フライについてはわざわざ指定が必要な裏技フライのようなものは無く、手返し(キャスティング可能回数)がルアーと違って少ないので(トラブルも発生しやすいですし)、フライ(毛鉤)そのものを縛ることにメリットがありません。小さいため現場でのチェックも難しいですしね。そのため、ルアーではいろいろ書いてあるように見えて、フライはあまり書いてないように見えるという、単なる見た目の上の問題だったのです。
エサやカエシ付きハリといったアウトロー以外では、裏技のようなマテリアルなんて存在せず、そもそものフライマンの技量によるところが多いので、パワーエッグのような集魚を兼ねたエッグや、ドロッパーのようなWハリを禁止するくらいのものです。
フライについてよくわかっていないパターン
管理釣り場のオーナーサイドがフライフィッシングについて明るくなく、規制・制限のしようがないというパターンもあるでしょうね。そういうところでもアウトロー・非常識系はちゃんとフライも含めて制限しているので、フライというのはそれさえ制限されて毛鉤のみOKというスタンダードルールならば、結ぶフライというのは本当になんでもOKなので、規制されている感じは全くありません。
鉛(LEAD WIRE)の禁止
元管理釣り場オーナーの方いわく、過去には、環境負荷を考慮してレッドワイヤーの禁止をしているフィールドもあったようです。最近ではレッドフリーのワイヤーもありますし、一時期ほどフライマンは多くないため、あえて明言するフィールドは無くなったようです。これはもう、現状いまだにマテリアルとして販売されている以上はフライマン各個人の問題でしょうね。私は使う場合はレッドフリーのみですし、レッドワイヤーのパターンはあまり釣れる気がしていないので使うことも少ないです。
規制する場合はフライごとNGにするしかない=機会損失
それでもやはりフライのエキスパートは、ルアーで多くても1日数匹~20匹くらいの激シブエリアで1日100匹とかを平気で釣り上げます。そういうエキスパート対策として、マーカー(ルースニング)やマラブーやミッジを禁止しているエリアがありそうで無いのはなぜか、というのが実のところこの記事の執筆を思いついたキッカケです。マーカー禁止は探せばありそうですが、フライに対して細かく規制するくらいならいっそフライ禁止という感じなのでしょうね。
ただ、土地の都合で禁止というところ以外ですと、フライまるごと禁止にすると機会損失感は否めません。少なくなったとはいえ、割と普通にいますからね。エリアによってはフライのほうが多い場合もあります。
あと、初心者さんにとってはたとえマーカーだとしても釣れる体験のほうが重要ですから、そういった意味でも禁止にするならフライまるごと、ということなんでしょうか。
フライマンは金持ちだから・・・
穿った見方もできます。フライを細かく規制しないのは、フライマンは医者などお金持ちが多く、レストハウスでの軽食など釣り券以外の部分にお金を落としやすいため敬遠されると痛い。緩やかなフィッシングスタイルであることも多く、先述のような数釣りエキスパートもいれば、数釣りはほどほどに、レジャーとして満喫して釣果としてはルアーマンと大差ない方も多く居ます。また、ゴミマナーや、釣り上げた魚へのダメージマナーなどのマナーリスクも少ないのがフライマンを受け入れるメリットでしょうね。もちろん、アナーキーなフライマンも割といますけどね。常に見られていると思って気をつけなければなりませんね。
おわりに
なぜゆるゆるに見えるのか、というのは文書としてレギュレーションをみたときにどうしても言及できる部分がフライの場合は少ないからという単純な理由と、フライを受け入れるか受け入れないかの二択になりがちであるということ、人口減により明言できることも少なくなったこと、あたりが主要な要素でしょう。
一方でテンカラ禁止が意外と多かったり、ダブルハンド・スペイ禁止などはフライマンとしても十分気をつけなければなりません。
マナーを守って、楽しいエリアフライフィッシングライフを。