「スローループ」1巻の各シーン徹底補足!漫画版・アニメ版から入ったフライフィッシング初心者は必見
2022年1月より放映開始のアニメ「スローループ」ではフライフィッシングが描かれています。アニメに合わせてさっそく既刊をすべて購入してきました。それはそれはもう、フライフィッシングの描写に釘付けになっております。
この企画では、執筆時点5巻まで刊行されている中、各巻を読み進めていく過程で、管理人糸屋が「補足・解説したいな〜」という場面に次々と付箋をつけておき、各巻を見終わった段階で各巻区切りで記事化していきます。
まずは1巻を読み終わったので、さっそくいろいろと書いていこうと思います。なお、決して小うるさいことを申し上げたいわけではありません。スローループきっかけ(漫画・アニメ両方)でフライフィッシングに興味を持った方が、わざわざ各項目や用語など調べずともまずは各巻ごとにこの記事企画を読んでいけば、漫画に描いてある内容については分散せずまとまった情報を得られるようになるというのが目的です。
ただ、もちろん、うんちくっぽい内容も多くなります。元ネタとか見つけるのが大好きなもので。
記事に起こしたいところを付箋して行った結果がこんな感じ。
タイトル「スローループ」についてあれこれ
実は造語だと思っていました。ループというのはフライフィッシングのフライライン(糸)を前後させる過程で生じる円弧を指すのは間違いないだろうと思っていましたが、スローはスローライフなどから取ってきて、それと合わせた造語なのかな?と。
というのも、フライラインの円弧に関しては、「スローかファストか」という速度について言及するものではなく、円弧の大きさや形状に言及するからです。たとえば鋭い形状でしたら「タイトループ」「ナローループ」などといいます。一方で大きな円弧の形状でしたら「ワイドループ」、変形亜型として意図的に角ばらせた「舟形ループ」といった具合です。
フライラインが前後する速度について言及する場合はループよりもロッドのスイングなどが絡むので、ファストスイング、スロースイングなどといったほうが適切なのではないでしょうか。
むろん、糸屋は関東の狭い範囲でフライフィッシングを会得していっているので、関西あるいは過去、いやいや、存じ上げない流派などでスローループという用語があるのかもしれません。後で出ますが、監修は東京のハーミットさんなのでそのへんクエスチョンではあるのですが・・・。
いずれにせよ、この漫画作品でタイトルになるまでは、スローループという単語はあったとしても知りませんでした。
ですが、当初の私の想像していた、まんがタイムきらら風のスローなイメージと合っている、いいタイトルだと思います。
ひよりが初登場時に持っていたリールはマリエット?
ロッドに関しては絵柄だけでは不明、リールはおそらくマリエットのものだと思います。
似たようなビジュアルのリールが多いので、よほど特徴的なものでなければ判断の難しいところ。
強風ではうまく投げられない?
フライフィッシングの弱点は、風です。強風だと釣りになりません。もちろん程度によりますが、向かい風はそれなりの風でもNGで、ストレスを抱えながら釣りをすることになります。
あくまで管理釣り場や開けた場所での話ですので、場所によっては風も付き合い方次第でなんとかならなくはないです。海ですと強風は大敵でしょうね。
釣行前の天気予報チェック時に、風速は間違いなく確認しておいたほうがいいでしょう。
そもそも「海フライ」はマジでフライフィッシング界でも超マイナー!
スローループは神奈川県の横須賀が舞台のようで、物語冒頭、堤防で釣りをしています。要するに、海釣りですね。
フライフィッシングにおいて、海で釣ること、それを海フライ、あるいはソルトフライと言いますが、ただでさえマイナーなフライフィッシングのなかで、さらにマイナーです。キャラクターも書き文字セリフで言及していますが、本当にマイナーなんです。ですが、フライフィッシングの魅力を海で体現できるというのもまた乙で、個人的にドアツーシー(本来は「ドアツーリバー」といい、川のそばに住んでいる意を文字って、海のそばに住んでいるとする)でしたら全然チャレンジしてみたいのですが、いかんせん海なし県なもので、最寄りの海まで3時間くらいかけて行くくらいなら、湖や川などのフィールドを優先してしまいます。
それでも専用の「海フライの本」が刊行されるくらいなので、海沿いの方でしたら選択肢としてはアリだと思います。フライフィッシングの道具を扱うフライショップにおいても、ソルトフライのグッズはそれなりに揃えているところも多いです。なかには、「この色はソルト用だよね、でもソルトやらないから使うことなさそう」というマテリアル(毛鉤用の素材)もあったり。
塩害と対象魚の都合で、タックル(釣り竿など道具一式)からなにから、ガラリと変わる特殊な釣り方、でも結構楽し・・・そう?という感じなのが海フライなのです。それを当たり前のように釣り上げているひよりちゃんは、すごいのです。あと、初登場時に結んでいたのも典型的なサビキ系の海フライですね。
「パーミット」の元ネタは東京「ハーミット」さん。いいショップです!
東京・水道橋のハーミットさん。Web上に供給されている情報量や地理アクセスなどを加味してもフライフィッシング界では最上位クラスのショップさんだと思います。
品揃え云々を考えると関東でのおすすめは間違いなく栃木・佐野「アカサカ釣具」か東京各地「サンスイ」なのですが、個人的にショップ巡りで立ち寄ったことがありますし(オーナーの稲見さんとはお会いできなかったのが心残り)、最上位クラスのフライフィッシングショップといっても差し支えないと思います。
巻末を見る限り監修もしているようですし、そのままの名称でもよかったのでは?と思いつつ、ハーミットさん監修だという安心感はかなりのものがあります。
作中で描かれている外観や店内の感じ、商品タグの感じなんかもほぼ再現されています。
唯一、恋ちゃんだけは… 行ってみてのお楽しみ?
フライは買うもの?
作中でよくばりセットなる完成品フライのセットをパーミットで購入するシーンがあります。
フライフィッシングにおいて、糸の先に結ぶ疑似餌はフライと呼ばれ、ハエというか飛翔小型生物的なFlyから来ているわけですが、小魚を模していても餌に似せても、よくわからないモシャモシャにしても、とにかくフライと呼ばれます。このフライですが、大概のフライフィッシャー(フライフィッシングをする人)は自分で作ります。
それをフライタイイングと言い、フライを巻くと表現します。なぜ巻くかというと、動作そのものがまさにぐるぐると糸を使って素材を針に巻き付けるからです。
で、なかには、フライを自分で巻かずに売っている「完成品フライ」を購入して釣りに挑む人もいます。手間暇をかけるのが楽しいフライフィッシングですが、手間をかけていられない人や、老眼になったベテラン、手先の器用さに自信がないなど、自分では巻かずに買うというのも選択肢としては普通にアリです。
お店でも完成品フライは普通に売られています。市販品としても存在します。個人取引でもよく見かけます。手間暇よりも、あれこれフライタイイングの道具を揃えるなら、買ったほうが早くて安上がりなのは間違いありません。
ただし、自分で巻くことで、愛着は湧きますし、自分で巻いたフライで釣ったという達成感もありますし、慣れてくると釣り場に合わせた素材(マテリアル)の選定ができるので、自分で巻いたほうが絶対楽しいですよ、とだけは言っておきたいところです。そうして沼に引きずり込みたいという魂胆は、隠しません。
作中で出たよくばりセット。ショップさんでセレクトしてケースに詰めてくれるというフルサービスは、頼めば行ってくれるとは思いますし、ショップさんのプロが巻いたフライは、間違いないクオリティでしょう。作中のようなワンケースくらいだと、5000円〜10000円くらいは必要になると思います。
初心者で、同行者の先輩や師匠がいない場合は、もちろんフライを買ってから挑んだほうがいいと思います。ただ、先輩や師匠さんがいて、自分でフライを巻く人の場合、たいがいはフライを貰えると思います。大抵のフライフィッシャーは、後輩がいれば、自分のフライを使わせたいものです。
自分でフライを巻いてからデビューしたい!という初心者さんも問題ありません。いきなり初心者が巻いたフライでも問題なく釣れるイージーな釣り場も多いですので、ご参考までに。
こはるの初陣タックルは、初心者セット? 初心者が初心者セットを使う罠について
こはるの管理釣り場初陣タックル、リールはたぶん、BSのような初心者向けだと思います。初心者セットの付属リールで、正直安いっぽい仕上がり。フライリールはルアー釣りと違ってそこまで性能が求められないとはいえ、初めからそれなりのものを使ったほうがいいと感じます。
正直なところ、初心者が初心者セットを使うのはあまりよく思っていないです。では誰のために初心者セットがあるのか、となりますが、他の釣り方と違って初心者セットのクオリティに問題あるので良くないと感じています。
フライフィッシングはとくにキャスティングがある程度慣れるまで難しく、慣れてからいいロッドに移行するのはあまり意味がなく、最初からある程度のクオリティのロッドを使ったほうが上達も早いのでは、と感じます。リールは小さいサイズしか釣れない釣り場でしたら何でも構いませんが、大きめの魚がかかる釣り場に行くことも考えると、やはりちゃんとした機構を備えたものがほしいところ。
道具が悪くてフライフィッシングが嫌になっては、元も子もありませんからね。
おすすめタックル
初心者おすすめはティムコのインファンテ。調べたらセットもあるようなので是非。
なお、こはるは次のシーンくらいで持ってるタックルが変わっています。リールは、ハーディのマーキスというもの?かもしれません。怪奇現象ですね。
最初に結んだフライは、エルクヘアカディスという、もっともスタンダードなフライです。
管理釣り場の流れ込みは一級ポイント 流れ込みしか魚がいないような場合も
流れ込み(インレット)は、とくに管理釣り場ですと新鮮な水が供給されるうえに流れが発生するため、その周囲に魚が溜まっていることがほとんど。管理釣り場やシーズンによってももちろん異なりますが、流れ込みでなければほとんど釣れないという場合もあります。
流れ込みに朝イチで陣取った釣り人がずっと釣り続けているなか、そうではない場所で釣っている人の竿は一切曲がらない(魚がかからない)ということがしばしばあります。そこまで顕著ですとさすがに釣り場が悪いということになるので、事前にある程度下調べしてから釣行に挑むのが吉です。
流れ込み以外でも水車のようなものがあればその周りの魚が活性化するということもあるので、必ずしも流れ込みのみ注目しなければいけないわけではありません。
湖、もしかしたら大尻
1巻最後の方の湖でのシーン。もしかしたら、菅沼キャンプ場+大尻沼かもしれません。個人的にメインターゲットにしている釣り場です。
手漕ぎで挑んでいますが、エレキモーターを積んで電気の力を頼ったほうが楽だとは思います。
雄大な景色、巨大なマス。最高の釣り場です。
おことわり
これら一連のスローループ補足解説記事においては、引用の範囲を逸脱しないように心がけて、自費購入した漫画を撮影し一部掲載しております。念の為(?)、手持ちのハックルを矢印代わりに写り込ませています。漫画画像についてはすべての権利は著作権者に帰属します。コピーライト表記に問題がありそうでしたらご連絡ください。フライフィッシングの発展と攻略のため尽力させていただきます。何卒ご了承ください。
スローループ 1巻
まんがタイムきらら勢としてもどうやら久々の期待良作らしいです。可愛く、たのしく、フライフィッシング。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません