フライロッドが折れた時はどうすればいいのか
糸屋がフライロッドのトップセクションをルアーロッドにコンバート改造した全記録の第1弾となります。まず、そもそもフライロッドが折れてしまった場合はどうすべきかということを考えていきます。
ロッドが折れるという緊急事態
前もって断っておくと、糸屋個人的には釣行中にロッドを折ってしまった経験はありません。したがって、折れた時の感情を書き記したり、応急処置のような物理的な対処に関して経験をもってお伝えすることはかないません。あくまで想定上の話になります。
それでも、たとえば高価なメインロッドをポッキリやってしまったと仮定してその一連の流れを想像すると、おそらくすべてを投げ出して釣り場から帰りたくなることでしょうね。まるで「ショーシャンクの空に」のポーズで、うなだれると思います。雨が降ってれば完璧です。
ともあれうなだれていても仕方ないので、折れた後のさまざまな対応を考えます。
考えられる大きな3つの選択肢。交換かセルフ修理か廃棄か
折れた後のことを考えると、大きく3つの選択肢があると思います。保証等を利用してのメーカー交換。そしてリペア素材を使ってセルフで修理。そして最悪、廃棄(ジャンク品として売却)。メーカーの交換修理保証が無ければ、基本的には時間対効果を考えれば廃棄してしまうのが一番効率がいいです。修理した時点でいろいろ変わってしまいますからね。しかし、なるべく廃棄せず何らかの活用をしたみたい、竿にも申し訳ないというのが人情というもの。
それを究極までこじらせた糸屋が、あれこれこねくり回した奮闘記という感じです。
まずは折れたその場のことを考えてみます。
応急処置として考えられる手段
まず応急処置で折れたロッドを使うとすると、先端の極めて短い折れ方に限りますが、ロッドを詰めて応急処置用のトップガイドを装着して使うことになります。
振った時のアクションは変わると思いますが、一応使い続けることは可能になると思います。
中途半端な位置やバット部で折った場合はその場での修復は諦めたほうが無難です。やったことはないですが、ビニールテープやブチルテープぐるぐるなどでは対応しきれないのでは、と思います。大概、筋状のクラックが入っていることでしょうから、傷を広げてしまいます。
やはり、その場での対応というのは、トップガイド付近が折れた場合にのみ限るでしょうね。
予備ロッドや予備手段を持っておくのは必須
応急処置がほぼ見込めないのは多くの釣り人がわかっていることと思います。ロッドというのは非常に繊細かつ不可逆なものなのです。
そのため、これもまた多くの釣り人が実践していますが、折れた時に備えて予備のロッドを持っておくのは必須です。
予備ロッドに関しては同じ番手2本というパターン、そもそも使う目的で複数番手を持っていき、いざ折れたら別の番手のみ使う。という感じでしょうか。
もとよりロッド1本のみ持って行くというのはよほどの状況でなければ考えにくいですね。一方で全く逆に、バイク釣行などでロッド1本というケースも有るかと思います。その場合、致命的な位置で折れた場合は気持ちを切り替えるほかないでしょう。
もしくは、自然のフィールドなどではキャンプ系の趣味に充てるなど時間を無駄にしない手段も用意していることでしょう。いずれにせよ、近所の川で小物釣り、というわけでもなければ、折れたらそこで終了という事態は避けなければなりません。
あったら嬉しいメーカー長期保証
もっとも楽なのは、メーカー保証があり、それを利用して折れた部分を交換してしまうことです。メーカー修理という言い方もすると思いますが、基本的には折れたセクションの交換、あるいはカタログ落ちしていたら最新モデルへの交換です。
自己負担分のお金として、予め定められた料金のほかに、海外メーカーがほとんどだと思いますので国際輸送料が結構かかってきます。それでも、新品で買うよりは圧倒的に安いので、25年、永年などびっくりするような長期保証があるロッドも多いですが、惜しみなく使っていきましょう。
オークションで落札したロッドの場合
車のように自賠責保険として車自体に保険保証がついているというよりは、オーナーに対しての保証である場合がほとんどですので、保証書がなければまず保証はつきません。これはもう仕方のないことです。ですが、自費修理として修理(交換)自体は可能なことも多いです。
最も大事なのは、オークションで落札したロッドを持っていっても嫌な顔をせずさまざまな対応をしてくれるショップを探すことです(笑)。最もおすすめは北関東圏ですとアカサカ釣具。事前に電話しておくとベター。
たまにあるのが、落札したロッドに保証書が入っていたケース。記入済みで遠方地のショップでしたら念の為電話で確認し、郵送対応してもらえるかどうかの確認。運良く近隣のショップでしたら伺ってみてもいいかもしれませんが、いずれにせよ他人名義のため、使えるかどうかはショップ次第という感じでしょうか。
メーカー保証がなくても
少しコツとして、超高価なものでしたら、実は車両保険の「おりても特約」的な物品保証特約を使うと、免責額はありますが、いくらかは出してもらえる可能性があります。保険に関しては詳しくないため確実なことは言えませんので要問合せですが、ソニー損保の保証は使えそうな感じです。いずれにせよ、高いものでしたら何らかの備えは必要でしょうね。
後日修理する場合:修理可能かどうかを見極める
折れたロッドを持ち帰り後日修理する場合、それが個々のスキルの範囲で修理可能か不可能か見極めなければなりません。
まず折れ方が大事で、非常に大きなクラックが入っている場合は廃棄推奨の状態です。軸となるカーボンが役目を果たせず、過剰な保護修理が必要となるため、竿としての機能に期待できないからです。
トップガイドに極めて近い場所や、トップセクションのどこかがキレイに折れている場合は、だましだましの作戦とはなりますが修理はできます。
よくあることで皆まで言うなという感じではありますが、折れた部分を詰めてトップガイドを付け直す。あるいは折れた部分を一旦キレイに切断して中空をカーボンロッドで埋め、接合する。治し方としてはそんな感じでしょうか。バット部で折れた場合も割と大手術になると思いますが、不可能では有りません。今回はいずれにせよ、修理に関しての記事ではありませんのであしからず(トップセクションが折れた竿を持っているので、別途記事として上げる可能性はあります)。
捨てるか売るか。廃棄も一考に値する
なんでもかんでもコスパコスパと考えるのは、さもしい人生になってしまうリスクをはらみますが、一方で人生の時間は無限ではないというのもまた事実。いかに自分で作業を行わないかというのが人生をより豊かにするための何気に重要な考え方なのですが、またその一方で私のように何でも自分でやりたがる、コスパ最悪、アメリカのトラックのような燃費の人間もいると思います。一言で言えば、DIY好き。
修理をするにせよ、ショップに持っていって交換に出すにせよ、(ショップが近くなければ)それだけで1日仕事になります。1日というと、人によりますが数千円~数万円の価値になるため、新しくポチったほうが早い場合も出てくると思います。ないしは、治したり修理に出したほうがちょっとは得なんだけど、処分してしまったほうが楽という考え方もあります。
処分する場合、ロッドは燃えるごみになることが多いですが、細かくしなければなりません。2ピースのフライロッドはそのままだと捨てられないでしょうね。自治体によっては不燃ごみ、粗大ごみという場合もありますので、お住いの自治体のゴミの捨て方を参照してください。
もう一方の、売却。リサイクルショップや黄色い看板のお店(あえて隠すまでもないので:タックルベリー)で買い取ってもらえるかどうかは状況次第? いずれにせよ、折れている時点で二束三文ですが、タダよりはマシでしょうか。おそらくガソリン代程度にしかならないので、時間の無駄になるかもしれません。
ネット売却というのも手です。オークションでしたら1円以上には少なくともなるでしょう。送料別にしてしまえば、痛くはありません。発送の手間だけです。
ただそれでも繰り返しになりますが、捨てたほうが早く楽なケースが多いです。
一応:部品取りという手段も
ちゃんとしたブランドのロッドでしたら、竿の直接的な価値は少なくても、ガイドやリールシートが部品として使える場合もあります。残念ながら接着剤で接合している以上はコルクグリップの再利用は難しいと思いますが、意外にガイドやリールシート単品ですと高価なので、部品取りも一考に値します。
クラックの入っていないカーボン部分も、修理素材として使えるため(特に、竿ですので当然テーパーがかかっているので、修理に有用です)、個人的には捨てずに取っておきます。
自分で修理しない方、バラして売るのも面倒な方は廃棄推奨。
実は折れたロッドを持っていた
個人的に折ったことはないと述べたとおりですが、折れたフライロッドは持っています(バット部が折れたもの、ティップ部が折れたものそれぞれ1本ずつ)。修理して使うという、当ブログのネタのストックとして、中古品を購入したのです。モノとしてもSAGEのいいロッドですし、どういうふうになるか試してみたかったのがあります。
修理よりもアルティメット修理!
修理して使うということを一連のネタとしてお届けしようと思いましたが、モノがいずれも6番ロッドであり、いざ修理できたとして使うことが無さそうなので、ずっとお蔵入りしておりました。しかしふと、以下のような連鎖思考に陥り、アルティメット修理という行動に移ることになったわけです。
Twitterなどでハンドメイドルアーを見て面白そうだと思う
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小さめのフライで使わないようなマテリアルが余って仕方ない、ソルトもやらないし
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余りマテリアルを使ってフライのエッセンスで軽量ルアーを作れるのでは?
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引っ張りが苦手なので、ルアーで勉強するのもあり?
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自作ルアーならルアーだとしてもやってみたい
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ルアーの道具まで買うとキリがないので、ロッドごと作る!
持っているジャンクロッドのうち、バット部が折れたものについては、9ft2ピースのうちトップセクションが生きているため、これをまるまるルアーロッドにできるのでは?と考えました。
かくして、2ピースフライロッドのトップセクションをルアーロッドにコンバート改造するという壮大な(?)アルティメット修理計画がスタートしたのであります。