フライロッドのトップセクションをスピニングロッドに魔改造してみた
フライロッドをスピニングロッドに魔改造した全行程のうち、実際の作業工程を綴った記事となります。作業自体は非常に簡単なものですが、なにぶん初めてだったもので緊張しました。
全行程のフロー
まずは各ガイドを外す
ガイドを覆うエポキシをカッターでえぐりとり、中のスレッドをくるくるはずせればOKという感じです。実際そんなうまくは行きませんが、深く削りすぎないようにすれば大丈夫です。エポキシが案外カッターでサクサクいけてしまうので拍子抜けしました。
ガイド外しのコツ
基本的には炙りや加熱などは不要です。エポキシの先端部を削り、スレッドの端が出せたら、くるくると引っ張っていくことで剥けます。すべてこそぎ落としても大丈夫ですが、カーボン部分を削らないように注意。スネークガイドを再利用する場合はなるべく傷つけないように。スネークガイドの足の部分のみ削ってスネークガイドのみ取り、段差を爪や硬質プラスチックでコジッて剥がしていくのもいいと思います。とにかくカーボン部分にダメージを与えないように。あと、その場合は無理やりスネークガイドを取ろうとするとよからぬことになるので、無理にスネークガイドを捻ったりしないほうがいいです。
エポキシ跡がガタガタしているので、サンディングでなめらかにしたほうが見栄えがいいですね。600番や800番の耐水ペーパーがいいと思います。それ以下でももちろんOK。目詰まりが早いので結構使いますが、もったいぶらず使いましょう。400番以上は油断するとカーボンまで削れてしまいそうです。うまくサンディングしたのち、塗装+ウレタンコーティングが理想ですが、これは色の濃いロッドですので、塗装無しでウレタンでもOKでした(失敗しましたが、後述)。
本稿執筆時点ではウレタンコーティングはしていません。失敗塗装を剥がすかどうか悩み中です。
グリップを接着
グリップのお尻からブランクの先端を挿入し、通していって接合する感じがいいと思います。逆からは入れにくいでしょう。その際、ブランクの穴にマスキングテープなどで詰め物をしておき、エポキシの流入を防いだほうがいいと思います。エポキシを塗って少し粘度が上がってからグーっと差し込んでいき、お尻から出てくるエポキシは硬化前にすぐに拭きましょう。
また、各種作業中は部屋の広さにもよりますがロッドティップがあちこちにぶつかっても大丈夫なように、先端にエアーパッキンを巻きましたが、それはそれで邪魔でした。
要か不要か、エクステンションバット
グリップは接着装着だけでOKでしたが、少しでもフライのエッセンスを、と思い、スイッチロッドの取り外し可能なエクステンションバットかの如く、スピニングロッドでよく見かけるロングバット化を試みました。もともとフェルールになってて接合できますからね。
折れたバットセクションに関してはもはや一切不要ですので、好き勝手改造できます。折れた部分はセクションのわりと先端の方なので、今後クラックが広がらないようにバッサリカット。
まず完成形を見てもらったほうがわかりやすいと思いますが、出来上がったのはこんな感じの物体です。
もともとのフェルールを存分に活かしました。これを、グリップエンドに装着するのです。もちろん取り外し可能。最初に行ったのはグリップ部のカット。高速回転なのでキレイな切断面になりました。
この先端に、カットしたフェルール部分をエポキシで接着。厚み調整は「テサテープ」で行いました。ロッドビルディングには結構必須のマスキングテープかもしれません。通常のマスキングテープでもよかったんでしょうけど、なんとなくの安心感。
テサテープはこんな感じのものです。
25mmを買いました。
使っているエポキシはダイソーのものです。10分硬化で気兼ねなく使えます。
エクステンションバットのエンド。要するにロッドエンドのエンドには石突としてなにか必要ですが、私はアメリカのコインを選びました。大昔に親戚のおじさんがお土産としてくれたものです。帰国後に両替するのも面倒な小銭を寄越したのでしょう。
サイズ的にハマるのがなかったため、一回り小さな1セントをエポキシで貼りました。磨いて光沢を出してから貼りましたが、案外色合いも悪くないです。
エクステンションバット装着イメージはこんな感じ。
各SiCガイドのラッピング
トップガイドから4番目まではもともとスネークガイドがあった位置でOKですので、そのとおりに配置し、一番大きなガイドのみうらしま堂渡辺つり具店の方に位置をマーキングしておいていただきましたので、その位置に取り付けます。
ラッピングスレッドは持っていた記憶があり、とくにうらしま堂では買いませんでしたが、結果手持ちのものはイエローで、全然合いませんでした。そこで、急遽タイイングスレッドのストックから撚りのあるものを探したところ「COBWEB」というラベルのものが何種類かあり、その中から良さそうなブラウングレー(タン)みたいな色をチョイスしたわけです。
文書や写真で紹介しているサイトもありますが、やはりこういうときはYouTubeが一番です。DIYもそうですが、ハウツー系の動画が本当に充実してきました。とくに探した中でおすすめはこれです。太い糸を使っているので非常にわかりやすい。
トップガイドもなんとか巻き、ロッドビルディングモーターでエポキシ塗りです。
クイック30はNG。ダイソーエポキシでOKだった
ラッピングスレッドのエポキシコーティングにあたり、ダイソーエポキシの10分硬化だと早くてダメそうなので、コニシのクイック30というエポキシを購入。しかしこれは合いませんでした。硬化までの時間的余裕はあれど、白濁しており、硬化後もぷにぷにです。面倒なのでそのまま使いますが、ちょっと正直微妙ですね。
完成後に、調子乗って振ってたら電灯のひもに引っ掛けて2番めのガイドが取れて付け直したんですが、その際ダイソーエポキシを使いましたが白濁もせずカチカチ透明で最高の仕上がりでした。ダイソーエポキシは若干黄色化するんですが、下が暗い色なので黄色は目立たず。最初からダイソーエポキシを使い通せば無駄な出費もせずに済みました。クイック30はまた別の接着で使い所があればいいんですが。
エポキシコーティング塗布の際、ロッドビルディングモーターでくるくる回しながら筆で塗ります。ダイソーエポキシの10分でしたら手でもいいかもしれません。筆はダイソーの絵画用のナイロン製がいいです。ロッド本体のウレタンコーティングも同様です。
ロッドビルディングモーターは高いため、ロッド関連の作業を今後も行わないとちょっと出費が大きいだけになってしまいますが、あると安心です。今回の作業くらいなら手回しで頑張ってもいいかも。
サンディング跡のカラーリングに失敗
スネークガイド跡で、かつ新ガイド装着で隠れなかったサンディング部分に関しては塗装を行いました。しかしこれが大失敗。
安心と信頼の染めQより、コーヒーブラウンを選んだのですが、もう一段階深い茶色のエスプレッソブラウンでもよかったです。
これなら最初から塗らないほうがよかったレベルですが、仕方ないのでロッドはこれで一応の完成としました。
塗装を落としてそのままウレタンコーティングするか、濃いカラーリングをしてウレタンコーティングするかは未定です。ウレタンコーティングは後日届くので、暇があれば行いますが、このままでも塗装保護はしてあるので使えます。
取り付けから硬化まで無事終了し、ともあれ、かくして、フライロッドのトップセクションをスピニングロッドにコンバート改造することは無事成功しました。先述のとおり、調子乗って振っていたら電灯の紐に引っ掛けて第2ガイドがふっ飛びましたが、ラッピングのエポキシコーティングはダイソーのものでOKだったという教訓を得られたのでよし。
ロッドソックも活かしたい
立派なSAGEのロッドソックもあるので、これは活かしたいです。そのままでは一番大きなガイドが邪魔で通らないので、リッパーで中央の縫製を途中までカットします。
1番大きなガイドが大きいため純正のハードケースには入れられなくなりましたので、汎用のケースが必要ですが、9ftの半分ですので市販の規格(アブのハードケースがおすすめ)で大丈夫です。これがもうちょっと長いものだと微妙にハミ出たりします。
リールとラインは最安でOK
今回の趣旨として、極力有り物で済ませるというのがありましたので、ガイドとグリップはバリバリ新品購入でしたが、とにかくルアーに対して出費は抑えたいところ。リールはどうしても購入しなければなりませんでしたが、アブの2000番の一番安いものにしました。ラインはさすがに流用できず、格安の0.8号のナイロンに。
終わってみての雑感
走り出してしまえばあとは気合でなんとかなるものですが(もちろん、エポキシを触ったことがある経験だったり、DIYの素地があったのは大事でしたが)、とにかく発進までが億劫でした。ガイドやグリップの壁に当たり諦めかけましたが、とにかく折れた6番が遊んでても仕方ないので、失敗覚悟でうらしま堂渡辺つり具店さんに突撃したのが奏功した感じです。今回ご助力いただいた同店には大変感謝しております。
ちなみに、全体の企画としてはまだまだ終わりではありません。釣るためのフライルアーのタイイングおよび 実釣 が待っています。その前に、スピニングリールのキャストの練習も大事ですね。練習はさすがに記事にはしませんが、タイイングおよび実釣は今後掲載予定です。
一見無茶な計画も、案外なんとかなる。いい経験になりました。