フライロッドをスピニングロッドにコンバート改造する設計-うらしま堂渡辺つり具店へ

2021年9月5日ロッド,ロッドメイキング

結局ちゃんとしたことはわからずじまい。そこで、この壮大な(?)計画がそもそも可能なのかどうか、プロにじっくりと見てもらうことにしました。

目次

DIYを諦めてプロに依頼する

木工系のDIYも趣味としてひとつ嗜んでおりますが、往々にしてどこかで個人規模の技術や装備やスキルでは実現不可能な領域が存在します。非常に極端な例で言えば、家をぐるっと囲む足場を組んで、家を全部ペンキで塗装するなんてことはどう考えてもDIYの領域では有りません。勲章まみれのニッカポッカを履いた複数の職人たちがハイエースで乗り付けて、それなりの期間をかけて行う作業です。ちょっとした小物入れや犬小屋なんかは塗装まで含めてむしろDIYの領域なのに、不思議とどこかから個人規模でできる限界が発生するものなのです。

たとえば釣りにおいては、ロッドメイキングに関しては大半がDIYの領域ですが、そもそものロッドブランクス(カーボン)もDIYすることはなかなか難しいでしょう。そういう意味ですべての工程をDIYできるバンブーというのは、すべて自分で行った達成感も相まってビルダーの脳髄を刺激するのでしょうね。一方でリールやラインはほぼメーカーがライン生産したものを使っています。特にティペットはほぼ100%の方が何らかの既製品だと思われます。

スキル、設備装備、コストパフォーマンス、意義・・・それらいろいろな要素が複雑に絡み合い、DIYでいくべきか既製品(プロ)に任せるべきかというのを決定します。

少し話が逸れましたが、現状のこの計画においては、装備やスキルよりも、私自身のルアー釣りに対しての知識が不足しています。 ガイドは何を選ぶべきか、どの位置に付けるべきか。 そもそもコンバート改造など可能なのか。--それらの知識を得て今回の計画をDIYで遂行するにはルアー釣りに対して莫大な出費と経験期間が必要となり、本末転倒になってしまうと考えました。そこで、コンバート改造予定のロッド(モノ)を持っていって、プロに設計をすべて依頼することにしたのです。結果から言えば、それで正解でした。

選んだのは【うらしま堂渡辺つり具店】

知ってる人は知っている老舗です。埼玉は羽生インターの近くに位置し、もともとの私の認識としては、ロッドビルディング専門店という感じでした。正直、諦めたからプロに依頼するというよりは、当該店舗がどのような感じのショップさんなのか見てみたくて、そのついでというのが大きいです。以下に、今回のコンバート改造を設計していただいた流れや、実際訪れてみての品揃え等をお届けします。

出会いは初心者の頃-フライショップ探訪のリストアップで

2014~2015年、ド初心者の頃はショップ探しに明け暮れました。品揃えや居心地、話しかけやすさなど、どの釣具屋が優れているのか。フライフィッシングブームが過ぎ去りもはや四半世紀とも言えるなか、究極的な結論はあっさりと出たものの、訪れずじまいのお店もありました。

その一つが、うらしま堂渡辺つり具店さんでした。というのも、情報によればこちらはロッドビルディング関連のお店で、当時の私としてはニッチ需要のお店だと判断し、すぐに訪問予定リストから外さざるを得ませんでした。ただ存在自体はずっと知っていたので、今回どこかのショップのプロに任せようと考えてからは、真っ先に脳内リストアップされたお店です。

埼玉県の羽生市、 羽生インター近くに位置しており、ポピュラーなマップアプリなら必ずヒットすると思います。純正カーナビだとわかりませんが、羽生中央公園あたりがランドマークになるでしょうか。今はもう、車のカーナビよりスマホのほうが圧倒的だと感じます。

一つ注意したいのは、面する道路は左折in、左折outのみです。物理的に右折in・outは不可能ですので、埼玉西より行く場合は問題有りませんが、羽生インターを降りてお越しの場合はどこかで上手いこと左折inできるように調整しなければなりません。

駐車スペースは縦方向が狭いので、バックがやや難儀しますが、私の駐車技術が微妙なだけで、よほど狭小な都市圏の店舗よりは全然問題ない感じです。

実際の品揃え-不足のない満遍なさが魅力

いざ到着。初めてのお店はドアを開ける際に緊張しますが、思い切って入ってみます。

※お店の方に話しかける前に、ぐるっと店内を物色してみました。実際は、パーツを探していただいたり、グリップの調整中にお店を見る時間はたっぷりありましたが。

第一印象としては、まず超高密度。群馬の銭屋もずいぶんゴチャついていましたが、とにかく所狭しとアイテムが並んでいます。ルアー・フライ両方置いているため、どうしても縦方向の深さはもう一歩のものもありますが、前情報通りロッドビルディングに関しては縦方向にずば抜けた品揃えがありました。ブランクスやグリップ、ガイド、ラッピングスレッドなど他のお店では絶対見かけないものも多いので、改造・新規制作においては必須のお店かもしれません。

特筆すべきはルアーメイキングの品揃えで、これは完全に私の中で事前情報がありませんでしたが、見た限り細々したもの含めかなり揃っていました。ハンドメイドルアーにハマった場合はまたお世話になる可能性が高いです。

ルアーの品揃えや傾向はわかりませんが、他のお店と競合する内容ですとどうしてももう一歩感、あるいは在庫回転の遅さを感じる気がします。ロッドビルディングついでにいろいろ買って済ます感じでしょうか。ただ、なんとなく一通り揃っている、満遍なくある感じはします。

フライに関しては、やはりどうしてもタックル周りやライン周りで不足を感じますが、案外マテリアルは豊富でした。ホワイティングの扱いがないのでハックルマニアには物足りないかもしれませんが、一通り揃うことには揃います。先述の通り回転率が残念でくたびれたパッケージもあることにはありますが、なにかのついでに寄って探すぶんには十分だと思います。珍しいスレッドや書籍など、他にはないアイテムが魅力ですので、一度は行ってみるべきでしょうね。空気感含め、超楽しいです。フライロッドのリペア関連ももちろん揃います。

今回ガイドでお世話になったfujiのページにて、ご主人たちの来歴やショップ探訪を載せた記事がありました。

今回私個人としてはお店の取材という形ではなかったので、訪れる方は上記リンクよりある程度予習しておくといいかもしれません。

経緯の説明、判明した事実--!

一通り店内を物色したのち、お店の方に今回の計画の経緯や内容を説明します。話の流れでとにかく現物を見るのが一番とのことで、持参したロッドをお見せしました。

そもそもコンバート改造は可能

第一に伺ったのは、まずそんなこと(フライロッドからルアーロッドへ)は可能なのか。これはもうあっさり、可能ですとのこと。しかし、ご希望のアクション(1g未満)かどうかは物によると。それは当然ですね。さらにフライロッドはコンバート改造するならベイト向きとのことで、やや残念感は残りますが、そこはクリアできたようでよかったです。

アクションは慣れた人が天井に当てるのが一番

実際に改造予定の4.5ftトップセクションを天井に当てて曲がりを確かめていただきましたが、ここで判明したのは、おそらく3g以上のルアーが適合だろうという点。重めのフライルアーは作れなくもないですが、フライのエッセンスだとなかなか3gに到達するのは難しい(ガン玉やレッドワイヤーが大量に必要)ですし、私としてはやれマイクロスプーンだ、縦釣りだ、といったマイクロのルアーにフライの威力を真っ向から浴びせてドヤるのが目的ですので、軽量であることに越したことはありません。

今思えば、6番のロッドが改造元なのが間違っているのでしょうね。それこそ3番以下かつ8ft以下(2ピースなら4ft、3ピースならそのうち2ピース使って5~6ft程度、4ピースならうち2~3ピース使って4~6ft程度)くらいが丁度いいのでしょう。ともあれそう簡単に折れたフライロッドは用意できないため、あるものを使うほかありません。

その後のTwitterのやりとりなどを加味しても、軽量ルアーを投げられなくもないとのことなので、とりあえず作るだけ作ります。折れた6番なんて持ってても何にもなりませんから。

コンバート改造には何が必要になってくるか

続いて伺ったのは、この改造にあたり何を購入すればいいか。どうやらガイドは前回記事でネタバレしたとおり流用不可能なようで、諦めてちゃんとしたものを選んで頂くことにしましたが、いかんせん高い。しかし結果から言えば、完成度や満足度を考えれば決して高い買い物でもありませんでした。加えて、ガイドのほかにはグリップのみの購入で作れることには作れるようで、あとから通販で購入したものを含めても、予算ギリギリちょいオーバーくらいの感じでした。

むろん、ダイソーのエポキシや筆、ロッドビルディングモーター、ラッピングスレッド(結局使ったのは通常のスレッドでしたが)を持っていたのはアドバンテージです。それらのない状態ですと、それぞれ揃えなくてはなりません。とくにロッドビルディングモーターがfujiの新品を買うとそこで5、6000円ですので、一度きりの改造ですとコスパ的に微妙になってしまうかもしれません。

プロのガイド選びを目の当たりに

引き返すわけにもいかないので、高いのを承知でガイドを選んで頂くことにしました。すると、ロッドのアクションや、スピニングロッドであることを吟味し、1個1個じっくり丁寧に選んでくださっています。これは非常にありがたかったです。何より、絶対に今の自分では行えない作業なので、一路託してみてよかったと痛感しました。

選ばれたのは、富士工業でした

ちょくちょく出てくるfuji(富士工業)ですが、今回のガイドとして選ばれたのはfujiでした。というか、まともなガイドをガイドのみで売っているのがfujiしかありません。とくにレビューを見てもラインがスルスル出ていって感度もいいとのことで、ルアー初心者にはもったいないくらいかもしれませんが、総合的に考えれば一番です。メッキの感じもちゃんとしてますよ、やはり。

今回、特に既製品のフルセットではなく、1個1個のガイドを単品で選んでいただいたため、セット売りよりわずかに高くなりましたが、ロッドに合った完璧なガイドが構築できたので大満足です。通販との価格差などを加味しても、ここまで高いプライスレスはないのではと思います。

ガイド位置の妙

とくに、仮にガイドを用意できたとしても一番わからなかったのはガイドの位置です。後から調べると一応解説しているページもありましたが、現状のモノにあった位置なんて到底弾き出せません。じっくり見ていただいて判明したのは、トップガイドから4番目まではすでにスネークガイドがあった場所と一緒で、最終の一番大きなガイドのみちょっとずれているということでした。

意外とそのあたり、先端付近のガイドの位置関係は釣法関わらず一緒なんでしょうね。黄金比的な感じなんでしょうか。とにかくガイド関連はオールおまかせでよかったです。

グリップは挿すだけOKの2000円

続いて重要になってくるのはグリップで、先入観ではスクリュー式のものしかないと思っていましたが、案外フライのようにハメるだけ形式の安価なものもあります。在庫のうちコルクで最安の2000円のものをチョイス。最後の1個でした(その後入荷するとは思いますが)。

穴径に若干ズレがあったので、じっくり修正していただきました。ガイド選びと合わせて作業工賃は発生しないので、非常にありがたかったです。申し訳ないくらい。

これを、ガイドを外してブランクの状態になったロッドに挿入すればOKです。もちろんエポキシ接着は必須ですが。

あとはもう作るだけ

かくして設計は決まりました。ガイド位置は一番大きなガイドのみ少しズレ。グリップはエポキシ接着するのみ。ガイド剥がしの際にブランクを傷つけないようにしたり、トップガイドを温めすぎないように(カーボンは簡単に折れる)など注意点もいただきました。

唯一心配なのは、作業中の事故。温めすぎてトップガイド付近のカーボンがグニャ折れしたり、どっかに引っ掛けてブランクを折ったり、取り返しのつかない接着をしてしまったり…… そんなことは無いように願いたいものですが、器用なのか不器用なのか分からない身としては不安いっぱいのまま、いざ制作です。

フライロッドからスピニングロッドにコンバート改造する際に最低限必要なもの

・ブランク
・ガイド
・ガイドを外すためのカッターおよび硬質プラスチック(ブランクを傷つけないため)
・トップガイドを外すためのライター
・グリップ(径が大きく違う場合はテサテープ)
・エポキシ接着剤(ダイソーで可)
・エポキシ接着剤用の筆(ダイソーで可)
・ロッドビルディングモーター
・ラッピングスレッド
・ラッピングスレッド用のボビン(フライ用で可)