折れたフライロッドの活用方法-スピニングロッドにコンバート改造できるのか?
折れたフライロッドのトップセクションをルアーロッドにコンバート改造した記録の第2弾となります。そもそも、フライロッドをルアーロッドへ流用可能なのでしょうか。
あまりにも大きな、そもそも問題
2ピースフライロッドのトップセクションをルアーロッドにコンバート改造する計画を思いついたはいいものの、よくよく考えてみれば糸屋個人のルアー釣り経験はほとんどありません。
それに加えてさまざまな問題に直面しましたが、それぞれの問題を一旦整理してみます。
釣りの経歴を晒してみる
2019年時点で5年ほど前、2014年にフライフィッシングを開始しましたが、それまでの釣りの経験は、そこからさらに遡ること10年以上で、ほとんど記憶にないレベルのトラウト釣りでした。確かマスタード色のスプーンをしきりに集めていた記憶があります。唯一行っていた管理釣り場がそのカラーが有効だったのです。当時、フライフィッシングを誘われてロッドを振ったことは有りましたが、まったく上手くできずルアーでいいやと諦めた記憶があります。初心者にバックストップは難度が高すぎる。
そのトラウト釣り自体も、回数で言えば5回くらいしか行ってないのではないでしょうか。ロッドやリールなんかも、近所に上州屋があったころの格安のものでした。以降、タックルベリーや総合雑貨店の中古釣具コーナーなどでたまに買うも、結局一度も釣りには行かずという感じ。
そんな状態でしたので、ルアー釣りに関しては深々とした知識は一切無く、周りに言うときは語弊はあれど「フライが初めての釣りです」と言うようにしています。
現時点の知識や先入観でわかっていたこと
「先入観でわかっていたこと」というと日本語的な矛盾を感じざるを得ませんが、たとえばスピニングとベイトではロッドグリップ部分の形状が違うだとか、民法の釣り番組はいみじくもフライなど扱うことは極稀なので、村田基さんのルアー釣りなどを見ていたことで、なんとなくの感じを知っていたりだとか。それは先入観とはいわず予備知識とも言えるかもしれませんが、具体的なことはあまりわかっていないので先入観といっても差し支えないでしょう。
あるいはアカサカ釣具など釣法混在の釣具屋で、何の気無しに「わからないなあ他の釣りは」なんてブツクサ言いながらブラブラしていると、何のものかわからなくても目に入ってくるアイテムは山程あります。まったく目にしたことがないよりはアドバンテージは2ポイントくらいあるでしょう。
トラウトとバスの違い、ルアーの種類、ライン(フライと共通する内容もありますし)……。
諸々勘案すると、まず作るべきはスピニングロッドだと感じました。先述の薄い経験があることに加え、もっとおぼろげな記憶でベイトロッドを親戚のおじさんに買ってもらったものの一発でバックラッシュした嫌な思いをしたのを覚えています。サミングなんて知る由もありませんでした。おじさんも釣りあんまりやらない人だったはずなのによく買ってくれたなと今思います。
踏み込むまでわからなかったこと(一部ネタバレ)
作ってみようといざ思い立つと、案外いろいろな情報が入ってきたり、疑問が浮かんだりするものです。これまで考えもしなかったことが、細かな壁として、ハードル競走のように立ちはだかります。ハードル競走と違うのは、それぞれジャンプすれば超えられるほどの高さかどうかわからないということです。もしかしたらよじ登らないと超えられないレベルかもしれません。それぞれ可能な限り整理してみます。
真っ先に思ったのは、 9ft2ピースの片方を使うわけですから当然長さは4.5ftで、この4.5ftという長さはルアー釣りだとどうなのか。タックルベリーの竹林を見るとルアーロッドは短くていいなあなんて感じますが、短すぎやしないかと。
もっとも簡単な解決方法は、売っているトラウトルアーロッドのラインナップを見てみればいいのです。そこで、とりあえずAmazonを覗いてみました。すると、概ねかけ離れてはいないようです。むしろちょっと短いくらい。もっと短いロッドもありましたが、4.5ftという長さ自体は問題なさそうでした。
もともとが6番のフライロッドですが、この6番のトップセクションというのはグリップを付けてルアーロッドにしたとき、どんなアクションになるのでしょうか。グリップのない状態でフェルール部分を握って天井にティップを押し当ててみるも、ちょっとハリが強いのかな?くらいの感覚でした。
たしかにタックルベリーで細いルアーロッドを振った記憶をたどれば、それとくアベルと固いのは間違いありません。そこで一路、最寄りのタックルベリー(車で数分)に行ってみます。
一路でもなんでもなく近所ですが、その辺の竹林から軽量ルアー用らしき最も細く短いロッドを振ってみると、値札タグなどが邪魔しますがどう考えても細くてしなやか。グワングワンに曲がります。これが適合gとして1g未満向けなのだとすると、改造予定のロッドはやや硬すぎることになります。同時に、いわゆる海用の、~ング用と思われる太くて短いロッドを振ってみると、それとは全く異なりました。あれは棒でした。
限度はあれど大は小を兼ねるの理論でなんとかいけないかな、とそこは一旦△印くらいで保留です。
カーボン、グラス、バンブー。主にロッドの素材として用いられるそれらですが、カーボンとグラスは混合比はあれど基本的にカーボンが多く入ったカーボンロッド、グラスメインのグラスロッド、竹から作られた高価なバンブーロッド。そういう感じだと思います。
素材比率などわかりっこありませんが、SAGEのカーボンロッドはルアーロッドとしてどうなのか。そこはもう、いけるものとして捉えるしかありません。素材のせいで折れるということはないと思われるので、アクションの問題。ルアー用としては固く、海用としては頼りない中途半端な感じ、どう転ぶでしょうか。
今回の計画にあたり、Webでロッドメイキング関連のワードでサーチすると高確率で引っかかる「イシグロ」さんをかなり見ましたが、一つ感じたことは、ルアー用(スピニング)のガイドは高い。下手すると、格安ロッドより高くなります。ジャンクロッドからの流用も考えましたが、アクションとガイドの関係がわからない以上、適当にやるわけにいきません。ガイドは値段もさることながら、適したもの、取り付け場所という問題に直面しました。
当初は、スネークガイドが流用可能かと考えていましたが、やはり繊細さが求めれることを考えると、直感ですが使えないだろうと考えました。最終ガイドだけSiCなので、そこだけ流用できるかも?くらいの感じです。
これはもう先に結果から言えば、ガイドは最終ガイド含めてすべて取り外し、すべて流用不可。ガイド関連は何もかもプロに依頼して見積もってもらうのが正解です。特に1回コッキリのこういう企画めいたお遊びでは。
プロとの会話で判明したのは、大昔だとルアーもフライもいけるロッドがあり(確かにオークションで見かけたことがある)、それだとスネークガイドを使っていたが、おすすめはできないとのこと。
Twitter上で判明したのは、SAGEはその昔ルアーロッドも作っていたということ。個人的にUFMウエダが逆にフライをだいぶ前に辞めてしまったというのは知ってましたが、ダイワシマノなどフライの力の入れ方に疑問符が残るメーカー以外ではウエダがすごい(すごかった)という知識でした。
グリップは当然スピニング用ですが、おぼろげな記憶ではリールシートはねじ式で、上の部分をくるくるして取り付けるものだと覚えていました。調べるとそのような商品はいくらか出てきますが、太さが合わない。太さはテープで調整してエポキシ塗ってOKらしい。しかし各パーツ高いしAmazonの中華製は質が心配。アクション的に合ってるのかどうかの不安、そしてちゃんとしたやつは高い!
これも結果から言えばすべてプロにおまかせでOKでした。悩まずとりあえず相談してもよかったですが、悩んだり調べたりするプロセスは非常に大事ですので。
もろもろ考えると、お店に突撃すべきだ
最終的に、悩むのはやめました。かねてからロッドメイキング関連の品揃えでは随一だと知っていた、埼玉は羽生にある「うらしま堂渡辺つり具店」へ一路向かうことに。今度こそ「一路」といえるくらいの距離です(笑)
しかし思い立ったは日曜夜。翌日月曜は定休日。おあずけをくらいましたがなんとか調整して水曜日に突撃です。次の記事では、ロッドの設計をすべて丸投げし、もろもろ購入したレポートをお届けします。